<< 赤壁古戦場 | top | 9月の休日はいい天気! >>

においと私

におい臭い

 

公益社団法人におい・かおり環境協会発行「におい・かおり環境学会誌 」に

論文を掲載した縁で、同誌コラム「においと私」にも寄稿したのでお読みあれ。

論文はこちら

 

日頃から「におい」や「かおり」への意識は薄い。むしろ鈍感あるいは無頓着

なのだろう。特別に嗅覚が鈍いとも思わないが、日常にて特別な悪臭や芳香に

接する機会が少ないのかもしれない。しかし、わが身の周りにも様々なにおい

が存在している。目覚めれば朝食とコーヒーのかおりで一日の始まりを感じ、

庭先の花々からの良いかおりで心が潤う。仕事場や外出先においても様々なに

おいに接し、自らもにおいを発している。自らが発するにおいは、慣れから感

じることは無いが、他人のにおいは、敏感になったりもする。ひょっとしたら

「おまえは臭い!」と感じている諸兄がいたらご容赦願いたい。

 

 


美味しい食物からは良いにおいがして、良いにおいのする食べ物は美味そうで、

食欲を刺激する。魅力的な女性からは芳香が漂い自然と近づきたくなり、煙草臭

や体臭のあるオジサンとは距離を置きたい。良いにおいからは食欲ややる気が生

まれ、その逆もある。そう考えると嗅覚による行動は思考によるのではなく、直

感による本能的行動だ。すると、においは日常行動に欠かせない要素であり、だ

からこそ意識をしていないのかも知れない。

 

 

生物に欠かせない物質として「水」があるが、水はどんなにおいがするのだろう

か。水のにおいは? と問われれば、多くの人は「無臭」と答えるのだろう。水

H2Oは無味無臭だが、実際に接する水には多くの物質が混ざり溶け込んでいる。

それら不純物により僅かながらにおいを発している。直接口に入れる飲料水でも、

その原水水質や浄化方法によってにおいが異なる。良質な水源を有する日本では、

飲料水の多くに河川水を浄化した水道水が用いられている。自治体が公共上水道

設備を設け、供給される水道の蛇口から出る水を直接飲むことができる。かつて

は都市部にて水道水の悪臭問題などが話題となったが、近年は高度処理設備の普

及が進み、都市部の水道水は改善され悪臭は無い。

 


水道の蛇口から直接飲める国は世界中でも僅かだが、その中で日本の水道水はと

りわけ安全・安心で美味しく、においが少ない。もっとも、膜ろ過などで高度に

処理された水道水はにおいもしないが、ミネラル成分等も除去され美味くもない。

水道水の美味しさを阻害する成分は、残留塩素(カルキ臭)やカビ臭だ。塩素は

殺菌のために浄水場にて添加され、法律により一定量の残留塩素量が規定されて

いる。塩素は大腸菌等の感染を防ぐために不可欠で、発生するカルキ臭は必要悪

ともいえる。カビ臭は、河川や湖沼などの藻類や放線菌により造り出されるため、

貯水池などの水質管理対策が重要となる。

 


水のにおいは無いと思いきや「水臭い」とも言われる。水商売に関わっているた

め、河川や湖沼の浅水域を胴長靴を履いて歩き回ることが多々あるが、水辺には

独特のにおいがあり水臭い。水草や藻類の発生した水域に入れば、それら植物臭

やカビ臭、水底の底質臭が入り混ざり水辺のにおいとなっている。通常の河川や

湖沼の水辺のにおいは嫌いではない。しかし、都市河川等の大量有機物流入によ

る硫化水素やアンモニア臭の発生は不快となる。水質浄化と底泥処理対策を早期

に行い悪臭対策をお願いしたい。

 

 
水臭いと言うと、人間関係における比喩的表現がある。意味は親しい関係なのに

よそよそしい、他人行儀と言うことで、由来は食物や飲物が水分が多くて,不味

い、水っぽいことからだ。水臭いと言ってもにおいとは関係なく、味が無い、味

が薄い、水のようだと言う意味だ。水にとっては良い比喩ではないが、水は多く

の物質・成分を溶け込ませ、調味料や旨味成分により味を引き立たせる万能な無

の物質である証だ。

 


水は、生命にとっても全ての物質にとっても基盤となるもので、水が主張しては

ならず、においや味があってはいけないのかも知れない。だからこそ水を大切に

しなくてはならず、水と水臭い関係になってはいけないのだろう。

 

終わり

うぉータン | ちょっと寄り道 | 15:38 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
Comment









Trackback
URL:
                                
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      
<< December 2017 >>
     
RECENT COMMENT
MOBILE
qrcode
OTHERS
LATEST ENTRY
CATEGORY
ARCHIVE
LINKS
PROFILE
SEARCH