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ペルー水事情

Lima上水

人口800万人を抱えるペルーの首都リマLimaは、その住民を支える飲料水の
水源をアンデス高地から流れ出るリマック川 Rio Rimac に依存している。
そのリマック川の水を取水し、浄水して供給するのが国営企業のSEDAPALだ。
SEDAPALの浄水場は、リマック川河口より20kmほど上流に位置しLa Atarjea
と呼ばれる。敷地は広大で、リマック川に沿って走る国道22Aより進入しても、
浄水設備は確認できず大きな岩山が見えるだけだ。


SEDAPAL

リマック川からの取水は、リマック川に水門を設け堰止め、両岸の取水設備による。
取水量は年間を通じて平均約17m3/s、夏季(12月〜4月)の最大取水量23m3/s
冬期(6月〜9月)の最小取水量15m3/sとなっている。リマック川の流量は水文統
計によれば、夏季は平均して50m3/s程度で水量豊かだが、冬期には10m3/sを
下まわる。つまり、取水量に対して流量の方が少ない。取水場所は貯水ダムでは
ないので、流量以上の取水はできないから、流れる水全てを取水することになる。
視察を行った時期も冬であり、100%の取水を行っていた。



リマック川両岸にある水門取水設備から、取水された河川水はLa Atarjea敷地内
にある二つの貯水池にポンプアップされる。
1)NO.1 Reservoir 最大容量 500,000㎥   最大深さ 7.10m
2)NO.2 Reservoir 最大容量 1,200,000㎥ 最大深さ 8.10m



先ずは、貯水池を見ようと、貯水池のある高台に車で行ってみたが車窓から見る限り
貯水池の水の色は綺麗なものだ。それほど汚濁してはおらず、貯水池内にはアオコの
発生は確認できず、問題は無いように思えた。
しかし、なぜここへ来たかといえば、この河川水が大量の有機物質を含むため貯水池
の富栄養化による水質悪化防止対策、加えて大量のSS成分を含むためその濁水対策
を検討するためだ。


NO.2 Reservoir 


NO.1 Reservoir 

まあ、それも視察が進むうちにだんだんと解ってきた。リマック川からポンプアップ
された水の流入口付近で下車すると、何やらプールの臭い:塩素臭がする。
SEDAPALの担当者によれば、塩素を貯水池に大量に添加することにより消毒を行い
藻類発生を防いでいるそうだ。


塩素CLORO

リマック川よりポンプアップされた河川水は、先ず、Desarenadoresという12槽あ
る沈砂設備にて、砂泥分を沈殿除去して貯水池に流入する。沈砂設備は各槽長さ35m
×幅8.0mあり、深さ5.8mのすり鉢状だ。水はこの沈砂設備を通過した後塩素を添加し
貯水池に流入している。一帯に立ち込める塩素臭は気になるが、貯水池の水は綺麗だ。
日本の水道水も、殺菌のため残留塩素の規定はあるが、塩素生成物は発がん性物質で
あり、できる限り使わない方が良いのでは・・・。
これも、ところ変われば価値観も変わる。そして、塩素消毒もその使用量が大量のた
め予算削減の目的から、新たな対策を模作している。





それでは、沈砂設備の効力がどうだと見る限り、それほどの濁水ではない。しかし
説明をする担当者は、盛んに12月からのブラックウォーターが大変なのだと大声で
主張している。どうも、最も重要な対策はアオコによる富栄養化対策ではなく夏季
の濁水対策のようだ。



リマック川の汚染原因は、夏季のアンデスの大雨が大地を洗い流し多くの砂泥分SS
を流入させ濁流となることだ。加えて、ペルー経済を支える鉱山が山間部に多く存
在するため、鉱山から排出される排水とともに、有害重金属を多く含む残土類など
が流れ込むためだ。そして、リマック川沿いには、リマ市への人口集中により、多く
の人々が住みつきスラム化している。このスラム街にはもちろん下水施設や排水処理
設備はなく、全ての生活排水、工場排水が未処理にてリマック川に流入している。


リマック川水門

そして、このスラム街は、浄水場の取水口上流に多く存在している。さらには同じ
SEDAPALが運営するラグーン処理方式の下水処理場も取水口上流部にある。
つまり、取水口の上流には、不完全な下水処理場からの放流水、未処理の生活排水
工場排水が流入し、それらの汚染水を下流部にある浄水場にて取水して、飲料水と
しているわけだ。


取水設備

貯水池にて数日間滞留をするため、貯水池も一定の沈砂機能はあるが、その水底部に
堆積した土砂の清掃には毎年約1ヶ月間かかり、その間給水量も制限されている。
この貯水池からの水が、同じLa Atarjea敷地内にある浄水施設にて飲料水となって
いる。最新の浄水設備は、どんな水であろうと良質の飲料水に変えることはできるが
やはり原水が汚染されていれば、手間も時間もかかる。そして、同じ浄水設備ならば
原水が汚染水ならば、製造される飲料水の水質も低下する。そのためにはできる限り
汚染原因を元から断つことが有効だ。


水門上流


水門下流

しかし、山間部の鉱山排水対策やスラム街での排水対策は、これも莫大な費用と
時間を必要とする。したがって、SEDAPALとしては貯水池においてできる限り
水質浄化を行いたい意向だ。そこで依頼がきたわけだ。



経済発展途上のペルーの首都リマは、浄水設備や排水処理設備などの都市基盤整備を
急ピッチで進めてはいるが、とてもその対策は追いついていない。無秩序に肥大化す
る都市を制御し、上下水などインフラを整備することは国家の一大事業である。
しかし、経済発展を優先していては、劣悪な環境破壊を招くことは、多くの途上国の
例で明らかだ。ペルーは、どこかの経済大国のように取り返しのつかない事態になる
前にバランスある発展を行ってもらいたい。

そのために、何ができるか考えよう!!

次回は下水処理場へ行ってみることに・・・

 
うぉータン | ペルー水事情 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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